N響80年全記録/佐野之彦 (文藝春秋)

一気通読。おもしろかった!
もう3倍の厚さがあってもよかったかな?

戦争中すら一度も公演を休まなかったという、ご存知、日の本一のオーケストラNHK交響楽団の一代記。

N響の80年は「日本の80年」でもあります。
華々しくぐんぐん成長する日本。停滞する日本…。
上質だけど気だるいN響は、まさに今の日本そのままなのかも?

牧歌的な頃のエピソードが抱腹絶倒。
まだまだ技術も未熟なのに果敢にも「春の祭典」日本初演に挑戦。
案の定、途中で崩壊状態になり各パートてんでバラバラに演奏し始めたので、しかたなく最後はシンバルとバスドラで大音響を叩いて強引に終了(どんなハルサイや…笑)。
二日目の演奏もまったく同じで大混乱。終了後、責任のなすりつけあいで喧嘩まで始まる始末。
やめりゃいいのに大阪公演でも取り上げて、またまた途中迷路に(…)。
指揮者のヤマカズこと山田一雄も「いまどこ?いまどこ?」状態で、このままではいつまでも終われないのでラッパの中村さんがキッカケの音を出して、ようやく終了。
中村さん曰く、「僕があの時吹かなかったら日響(今のN響)は、一晩中ハルサイやってた」。

笑えるエピソードだけではなく、常任指揮者・尾高尚忠がヒロポン中毒で過労死とか、有名な「小澤征爾事件」にもちゃんと触れてあります。
(「小澤事件」の時の三島由紀夫の発表した文章は、非常に配慮の行き届いた、素晴らしい名文だと感心しました)

N響が世界最高峰かどうかは疑問ですが、生来の日本人の生真面目さにより、世界でも珍しいほど短期間に成長したオケなのは事実でしょう。
それと、この本読むと、有馬大五郎という事務長が裏方として非常に重要だったことがわかります。
やっぱり組織はウラカタ次第ですね。

とにかく昭和30年代40年代のN響にいたら、大変だけどおもしろかっただろうな…
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by fukushimadesu | 2007-12-05 20:18


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